歌うときは鼻呼吸?口呼吸?場面で使い分ける3つの基準

歌うときの呼吸は、鼻か口のどちらか一つに決めるのでなく、場面で使い分けるのが基本です。ゆとりのある場面は鼻から、素早く吸う場面は口と鼻の両方から吸うと、息が入りやすくなります。

歌うときの呼吸は、鼻と口のどちらか一方に決めるのではなく、場面で使い分けるのが基本です。時間に余裕があるときは鼻から静かに吸い、短い間で素早く吸いたいときは、口と鼻の両方から一気に吸います。それぞれに長所があり、組み合わせることで、息が安定して、声ものびのびと出せるようになります。この記事では、鼻呼吸と口呼吸それぞれの特徴、場面別の使い分け、吸うときの体の使い方、練習メニューを順に紹介します。

鼻呼吸と口呼吸の特徴

まず、二つの呼吸の特徴を比べてみましょう。

項目 鼻から吸う 口から吸う
吸える量 ゆっくり、静かに吸える 短時間で多く吸える
音 ほとんど音が出ない 吸う音が出やすい
のどへの影響 空気が鼻で温まり、のどが乾きにくい 空気が直接入り、のどが乾きやすい
向く場面 ゆったりしたバラード、曲の出だし前、小さな声の場面 テンポの速い曲、間の短いフレーズの間
姿勢への影響 肩が上がりにくく、落ち着いた吸い方になる 慌てると肩が上がり、胸だけで吸いやすい

鼻から吸うと、空気が鼻の中で温まり、湿り気も加わって、のどにやさしく入ります。一方で、鼻だけでは吸う速さに限りがあり、短い間ではたっぷり吸えません。逆に口から吸うと、素早く多くの空気を取り込めますが、吸う音が出やすく、のども乾きやすくなります。それぞれの特徴を知って、使い分けることが大切です。

歌の練習では、「鼻呼吸が正しい」「口呼吸はよくない」と、どちらかに決めてしまう必要はありません。曲の速さ、フレーズの長さ、声の大きさ、会場の乾燥具合など、条件が変われば、ちょうどよい吸い方も変わります。選択肢を二つ持っておくことが、安定して歌う力になります。

場面別の使い分けの基準

歌の中で、どの呼吸を使うかを決める基準は、「吸える時間の長さ」と「その後のフレーズの性格」の二つです。

基準1 吸う時間にゆとりがあるとき

曲の出だし、間奏明け、ゆったりしたバラードのフレーズの間では、鼻から静かに吸います。吸う音が出ず、気持ちも落ち着きます。出だしの前の準備として鼻から吸うと、最初の声が安定します。

基準2 吸う時間が短いとき

テンポの速い曲や、フレーズの間が短い場面では、口を軽く開き、口と鼻の両方から一気に吸います。吸う音を気にして小さく吸うより、短く素早く吸うほうが、次のフレーズに余裕を持って入れます。

基準3 次のフレーズが静かか、力強いか

静かな小さなフレーズの前は、鼻から吸うと、吸う音が目立たず、雰囲気を壊しません。力強いサビの前は、口と鼻から多めに吸い、息の量を確保します。次のフレーズの性格に合わせて、吸い方を選びます。

この三つを、曲ごとに歌詞カードへ書き込んでおくと、迷わず歌えます。たとえば、鼻から吸う箇所には「鼻」、素早く吸う箇所には「口」と書いておく方法です。書き込みは、歌い込むうちに自然と体が覚えるので、慣れたら少しずつ減らしていけます。

どちらで吸っても共通する体の使い方

鼻でも口でも、吸うときに次の点を守ると、息が深く入ります。

  1. 肩を上げない。肩が上がると、胸だけが動いて息が浅くなります。
  2. お腹と脇腹、背中側がふくらむ。息は、体の下のほうまで入るつもりで吸います。
  3. 吸う音を立てすぎない。「ハッ」と音が強く出るときは、口を開けすぎているか、のどが狭くなっているサインです。
  4. 吸ったらすぐ歌い出す。息を止めて構えると力みます。吸った流れのまま、自然に声へ移ります。

あくびをする直前の、のどの奥が広がる感覚が、よい吸い方の目安になります。のどの奥が開いた状態で吸うと、息が静かに、深く入ります。

曲のタイプ別ブレスの考え方

曲の性格によって、ブレスの組み立て方も変わります。代表的な三つのタイプで、考え方を整理します。

曲のタイプ ブレスの考え方
ゆったりしたバラード フレーズの間が長いので、鼻から静かに吸う。吸う音が曲の雰囲気を邪魔しない
テンポの速いポップス 言葉が詰まっているので、口と鼻から短く素早く吸う。吸う場所を歌詞の句読点に合わせて固定する
サビで盛り上がる曲 サビの直前に、口と鼻から多めに吸う。Aメロ・Bメロは鼻中心で落ち着いて歌う

ブレスの場所は、歌詞の意味の切れ目に置くのが基本です。言葉の途中で息を吸うと、聴き手には言葉が途切れて聞こえます。「、」や「。」にあたる場所、または名詞や動詞が一区切りになる場所で吸うと、歌が自然に流れます。

どうしても息が足りない場面では、一つ前の区切りで少しだけ素早く吸い足す方法もあります。これを「つぎ足しのブレス」と呼ぶことがあり、長いフレーズの途中で、聴き手に気づかれない程度に短く吸います。本番で使う前に、練習で試して、違和感がないかを録音で確認しましょう。

口が乾く・のどが渇くときの工夫

口から吸うことが多い歌では、のどが乾きやすくなります。次のような工夫で、乾きを減らしましょう。

  • 歌う前と、曲の合間に、常温の水を少しずつ飲む。
  • 鼻から吸える場面は、できるだけ鼻を使う。
  • 口から吸うときも、口を大きく開けすぎず、軽く開く程度にする。
  • 練習の前後に、のどや口まわりの力を抜く。

冷たすぎる飲み物は、のどを冷やしやすいので、常温かぬるめのものが向いています。室内が乾燥している場合は、加湿を心がけるのも一つの方法です。

呼吸の使い分けを身につける練習

使い分けは、練習で自然にできるようになります。次の3つを順に試してみましょう。

練習1 鼻で4秒吸い、口で8秒吐く

鼻から静かに4秒吸い、「スー」と口から8秒かけて吐きます。ゆったりした場面の吸い方を体に覚えさせる練習です。

練習2 口と鼻で1秒吸い、口から吐く

口を軽く開き、口と鼻の両方から1秒で素早く吸って、「スー」と吐きます。短い間で吸う感覚を作ります。吸う音が大きくなりすぎないよう、のどを開けた状態で行います。

練習3 歌のフレーズで使い分ける

好きな曲のAメロとサビを使い、ブレスの箇所に「鼻」「口」の印をつけて歌います。印のとおりに吸えているかを、録音で確認します。

日 内容
1〜2日目 練習1を5回ずつ
3〜4日目 練習2を5回ずつ
5〜6日目 練習3で、Aメロの印通りに歌う
7日目 サビまで通して歌い、録音で吸う音とフレーズの入りを確認

1回の練習は10分ほどで十分です。のどに違和感があるときは、軽く切り上げましょう。練習2で吸う音が気になる場合は、吸う量を少し減らして、吸う速さだけを意識してみてください。音が小さくなり、フレーズの入りも滑らかになります。

自分に合うブレスの位置を見つけたいときは

ブレスの位置と吸い方は、声の高さや息の量、曲の速さによって、人それぞれに合う形が変わります。ATOボーカルスクールは、Zoomで受けるオンラインのレッスンで、一曲の仕上げの中でブレスの位置を一緒に決められます。たーなー先生と、そのもとで学んだ講師陣が、その人の声に合う息の使い方を整えます。体験は1回(25分)で、お話だけで終えることもできます。

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よくある質問

歌うときは、鼻だけで吸うほうがよいですか?

鼻だけにこだわらず、場面で使い分けるのが基本です。時間に余裕があるときは鼻から、短い間では口と鼻の両方から吸います。

吸うときに音が出てしまいます。

口を開けすぎている、あるいはのどが狭くなっている可能性があります。あくびの前のような、のどの奥が広がる感覚で、軽く口を開いて吸ってみましょう。

歌う前の深呼吸は鼻と口のどちらがよいですか?

歌い始める前は、鼻から静かに吸い、口から細く長く吐く形がおすすめです。気持ちが落ち着き、息の流れも整います。

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