声種は、出せる最高音ではなく「楽に響く高さ」と「声の色」で見分けます。4つの声種の特徴と、自分で確かめる手順を紹介します。
声種は、ソプラノ、アルト、テノール、バスの4つが基本で、見分けるには「出せる音の範囲」だけでなく、「楽に響く高さ」と「声の色」を合わせて見るのがポイントです。無理をすれば高い音が出せる人でも、楽に長く歌える中心の高さは人それぞれ。その中心の高さが、声種を決める大きな手がかりになります。この記事では、4つの声種の特徴を整理し、自分で確かめる4つの手順、合唱やカラオケでの活かし方を紹介します。
声種とは何か
声種とは、声の高さと響きの特徴で分けた、声の種類のことです。合唱では、高いほうから、女声がソプラノとアルト、男声がテノールとバスに分けられます。それぞれのなかに、さらに細かい分類もありますが、まずはこの4つを知ると全体像がつかめます。
| 声種 | 高さ | 声の色の傾向 |
|---|---|---|
| ソプラノ | 女声の高い声 | 明るく、軽やかで、遠くまで通る |
| アルト | 女声の低い声 | 落ち着いて、深みと温かみがある |
| テノール | 男声の高い声 | 輝きがあり、伸びやかで華やか |
| バス | 男声の低い声 | 重厚で、どっしりと安定している |
男女の声の違いは、おもに声帯の長さや厚みで生まれます。そのため、同じ声種のなかでも、人によって響きや厚みには幅があります。
見分けるときに見る3つの要素
声種を決めるとき、最高音と最低音だけを見ると、判断がぶれやすくなります。次の3つを合わせて見ます。
- 楽に出せる音の範囲:のどに力を入れず、きれいな声で出せる範囲。無理に出す高音や低音は含めない
- 中心になる高さ:話すときや長く歌うときに、自然に落ち着く高さ。声種はこの中心で判断する
- 声の色:明るく軽いか、深く重いか。同じ高さでも声の色で向き不向きが変わる
最高音は、練習で伸びる部分が大きいので、声種の決め手にはなりません。楽に響く中心の高さこそが、その人の声の「住まい」にあたります。
自分で確かめる4つの手順
- 楽に出せる音の範囲を探す:ピアノやアプリで音を鳴らし、「あー」で上へ少しずつ上がっていく。きれいに響く限界の少し手前までを、楽に出せる範囲とする。下へも同じように確かめる
- 中心の高さを見つける:楽に出せる範囲のなかで、息が一番自由に流れ、声がよく響く高さを探す。そこが中心の高さ
- 声の色を聞く:同じ高さで、明るい声、深い声を試す。録音して聞くと、自分の声がどちらに近いかがわかる
- よく歌う曲の高さと照らし合わせる:楽に歌える曲の歌い出しの高さと、苦しくなる曲のサビの高さを、メモして比べる
手順の途中で喉が締まる、苦しくなると感じたら、そこが限界の手前です。無理をして出した音は、声種の判断に含めないでください。
4つの間にある声種:メゾソプラノとバリトン
実際には、4つの声種の間に位置する声もあります。女声のソプラノとアルトの間にあたるのがメゾソプラノ、男声のテノールとバスの間にあたるのがバリトンです。日本の男声は、テノールとバスの中間にあたるバリトンの響きを持つ人も多く、「どちらにも少し届かない」と感じるときは、この中間の声種かもしれません。合唱では、バリトンの人は、楽なほうのパートを選んだり、曲によって上下のパートを使い分けたりします。
声の色を聞き分ける簡単なチェック
録音した自分の声を、次の表の観点で聞いてみてください。高さに迷うときの補助になります。
| 聞く観点 | 明るく軽い方向 | 深く重い方向 |
|---|---|---|
| 声の質感 | きらきらして、細かい輝きがある | まるく、厚みと温かみがある |
| 話し声の高さ | やや高めで、軽やかに響く | やや低めで、落ち着いて響く |
| のびやすい母音 | 「い」「え」がよく響く | 「う」「お」がよく響く |
| 疲れやすい場所 | 低い音で息が混ざる | 高い音でのどが締まる |
この表は、どちらかに決めつけるものではなく、傾向をつかむための目安です。複数の観点で同じ方向を指していれば、その方向の声種に近いと考えられます。
録音を使った1週間の見分けワーク
- 1日目:楽に出せる音の範囲を、ピアノやアプリで確認して記録する
- 2日目:話し声で、普段いちばん落ち着く高さをアプリで調べる
- 3日目:楽に歌える曲と、苦しい曲の歌い出しの高さを、それぞれ調べる
- 4日目:5つの母音を同じ高さで録音し、響きやすい母音を探す
- 5日目:数曲を、原曲のキーとキーを下げたものとで歌い、楽なほうを選ぶ
- 6日目以降:集まった記録を見て、中心の高さと声の色をまとめる
日をまたいで確かめると、体調や気分による変化に左右されにくくなります。まとめた結果は、キー選びや合唱のパート選びの基準になります。
4つの声種の特徴と向いている曲の傾向
| 声種 | 得意な場面 | 歌いやすい曲の傾向 |
|---|---|---|
| ソプラノ | 高い旋律、きらびやかな表現 | メロディーが高めの曲。主旋律を担当することが多い |
| アルト | 中低音の安定、ハーモニーの支え | 落ち着いた曲、バラード。合唱では和音の中心を支える |
| テノール | 男声の高い旋律、華やかな表現 | ポップスの高めの曲。合唱では主旋律を担うことが多い |
| バス | 低音の土台、重厚な響き | 低めの曲、和音の土台を支える役割 |
ポップスやカラオケでは、声種の名前よりも「原曲のキーが自分の中心の高さに合っているか」が大切です。声種が見えてくると、キーの上げ下げの目安も立てやすくなります。
声種を見分けるときの注意点
声種は、年齢、体調、練習の量によって変わることがあります。特に、練習を始めたばかりのころは、声の使い方に慣れていないため、実際の声種より狭く出ていることがあります。
- 声変わりのあとの声は、数年かけて落ち着く。若いうちは声種を固定しすぎない
- 風邪や疲れのときは、声が出にくくなる。体調のよい日に確かめる
- 喉に力を入れると、高い音は出ても響きが細くなる。力を抜いた状態で判断する
- 練習を重ねると、無理なく出せる範囲が広がる。数か月おきに見直す
声種は「決めつけ」ではなく、今の声を知る手がかりです。範囲の端の音を楽に出せるようになるのも、声の育ち方の1つです。
声種を知って、合唱やカラオケに活かす
自分の声種が見えてくると、日常の歌がぐっと楽になります。
- 合唱のパート選び:中心の高さと声の色から、自分に合うパートを選べる。迷う場合は、隣のパートの旋律も歌ってみて、楽なほうを選ぶ
- カラオケのキー設定:中心の高さを基準に、原曲のキーを上げ下げする。最も高い音を目安にせず、曲全体で楽に響くキーを探す
- 曲選び:声の色に合う曲は、練習の成果が出やすい。歌いやすい曲を土台にして、挑戦する曲を増やしていく
- ハモリの担当:自分の声の高さと色に合う高さで、メロディーの上や下を歌うと、ハーモニーが安定する
キーを変えるのは、ごまかしではなく、声に合った高さで歌う工夫です。プロの歌手も、曲ごとにキーを調整して歌うことがあります。
自分の声種を、レッスンで確かめてみませんか
声種の判断は、耳のよい第三者に聞いてもらうと、ぐっとはっきりします。ATOボーカルスクールは、Zoomで受けるオンラインのボイトレです。たーなー先生と、そのもとで学んだ講師陣が、あなたの声を聞いて、楽に響く高さや声の色を確かめ、好きな曲のキー設定まで一緒に考えます。体験は1回25分で、お話だけで終えることもできます。月4回16,500円(税込)で始められます。
よくある質問
高い音が出せれば、ソプラノやテノールですか?
最高音だけでは決まりません。楽に響く中心の高さと声の色を合わせて判断します。無理をして出す高音は、判断に含めません。
声種は途中で変わりますか?
年齢や練習、体調によって、楽に出せる範囲は変わります。数か月おきに見直すと、今の声に合った歌い方を選べます。
声種に迷うときはどうしたらよいですか?
2つの声種の旋律を、それぞれ歌ってみて、楽に響くほうを選びます。迷うときは、レッスンで聞いてもらうと整理しやすくなります。
