この記事の答え
第九を初めて歌う大人が、まずやることは3つです。
- ドイツ語は「カタカナで読める状態」から始め、母音ははっきり、子音は短く。ü・ö の口の形だけ先に覚える。
- 高い音は、大きな声で押し上げない。息の量を一定にして、「ホー」の響きのまま上がる。
- 本番の8週間前から、家で1日15分を「読む→音程とリズム→高い音・長い音→通し」の順で。最初から全部を通して歌わない。
▶ 本番までの8週間の練習表へ ▶ 自分の声の癖を先に知りたい方は 25分の無料体験
監修・執筆:たーなー先生(ボイストレーナー歴30年、延べ5万人以上を指導。テレビ東京『THEカラオケ★バトル』の優勝者・新人王・U18四天王の指導も行ってきました)
年末の「第九」の合唱に申し込んだけれど、楽譜を見て不安になった。ドイツ語は読めない、高い音が出ない、合唱は学生のとき以来――。そんな方に向けて、初めての人がつまずきやすい3つの場所と、本番までの8週間の練習の順番をまとめました。
そもそも「第九」とは?年末に歌われる合唱の曲
第九は、ベートーヴェンの「交響曲第9番」のことです。合唱がつくのは最後の第4楽章で、ドイツの詩人シラーの詩「歓喜に寄す(An die Freude)」をもとにした歌詞を、ソプラノ・アルト・テノール・バスの4つのパートで歌います。
日本では年末の恒例の曲になっていて、各地で市民が参加する演奏会が開かれます。合唱の部分は20分前後。長く感じますが、「歓喜の歌」のメロディがくり返し出てくるので、くり返しの所から覚えると早く覚えられます。演奏会ごとの練習日程や参加の条件は、主催者の案内に従ってください。
初めての人がつまずきやすい3つの場所
- ドイツ語が口に追いつかない
- 高い音で声が細くなる・ひっくり返る
- 長い音(のばす音)で息が足りなくなる
どれも「頑張って大きな声を出す」ほど悪くなるのが共通点です。1つずつ直し方を紹介します。
① ドイツ語の発音のコツ:母音ははっきり、子音は短く
最初は、合唱団で配られる読み方(カタカナ)で構いません。ただし、カタカナのままだと次の3つがずれやすくなります。
- ü:口を「ウ」の形にすぼめたまま、舌は「イ」の位置。日本語の「ユ」より、唇を前に出すのがコツです。
- ö:口を「オ」の形にして、舌は「エ」の位置。
- 語尾の子音(-t・-d・-ch など):カタカナで「ト」「ド」と書かれていても、「オ」の母音をつけず、息だけで短く切ります。母音をつけると、合唱全体がもたついて聞こえます。
もう1つ大事なのが、「母音で歌い、子音はその前に置く」ことです。たとえば Freude(フロイデ)なら、「フ」と「r」は拍の少し前に済ませて、拍の頭に「オイ」の母音が来るようにします。こうすると声が前に飛び、周りとそろいます。
練習のコツは、最初は歌わずに、歌詞をメトロノームに合わせて「読むだけ」にすることです。言葉がリズムどおり口から出るようになってから音をつけると、音程まで安定しやすくなります。
② 高い音の出し方:大きな声で押し上げない
第九の合唱には、どのパートにも高い音をのばす場面があります。ソプラノは高いラ(A5)が出てくる場面があり、テノールもかなり高い音域を歌います(パートごとの最高音は、配られる楽譜で確かめるのがおすすめです)。
高い音で声がひっくり返る・細くなるときは、次のどちらかが起きていることがよくあります。
- 音が上がるほど息を強くしている(のどが締まる)
- 高い音の前で口を横に開いている(声が平たくなる)
直し方
- 「ホー」とフクロウのような響きで、低い音から高い音へゆっくり上がる(サイレンのように)。息の量は最後まで同じにします。
- 高い音ほど、口は縦に開く(指が縦に2本入るくらい)。あくびの始まりの感じで、のどの奥を広くします。
- 高い音の1つ前の音で準備をする。高い音で急に構えるのではなく、前の音から「上に乗る」気持ちで歌います。
地声のまま押し上げると、練習が続く2か月の間にのどを痛めやすくなります。裏声と地声のあいだをなめらかにつなぐ練習は「ミックスボイスの出し方」で紹介しています。
③ 長い音で息が足りなくなる:吸う量より「使い方」
のばす音で息が足りなくなる方は、「たくさん吸う」より「少しずつ使う」練習が効きます。
- 「スー」と細く長く息を吐き、8拍・12拍・16拍と伸ばしていく(1日2分)
- のばす音の最後まで、おなかの前を内側にゆっくり戻していく
- 休符で毎回たっぷり吸わない。合唱では、パートの中で息つぎの場所をずらす「カンニング・ブレス」も使えます(指揮者の指示に従ってください)
まっすぐ長く伸ばす練習は「ロングトーンの練習方法」にもまとめています。
本番までの8週間の練習表(家で1日15分)
合唱団の練習に加えて、家での15分をこの順でやると仕上がりがそろいます。最初から全曲を通して歌うのはおすすめしません。のどが疲れるうえ、苦手な所がいつまでも残ります。
| 週 | 家での15分でやること | ねらい |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | 歌詞をリズムどおりに読む(歌わない)。ü・ö・語尾の子音 | 言葉が口から出る状態にする |
| 3〜4週目 | 自分のパートの音を、ピアノアプリや音源で確かめながら小さめの声で | 音程とリズムを体に入れる |
| 5〜6週目 | 高い音・長い音の所だけを取り出して練習(②③の方法で) | 苦手な所をなくす |
| 7週目 | 通して歌う(1日1回まで)。立って、楽譜を目の高さに | 本番の体力をつける |
| 8週目(本番の週) | 声を出すのは軽く。読む練習と、高い所の確認だけ | のどを休ませる |
本番の前日と当日の朝は、のどを冷やさない・大声で話さない・水分をこまめに。発声はハミング(鼻歌)から始め、いきなり高い音を出さないでください。
合唱で「自分の声が聞こえない」ときは
周りの声に合わせようとして、自分の声が分からなくなるのは、合唱ではよくあることです。片方の耳を手で軽くふさぐと、自分の声が聞こえやすくなります。周りと声をそろえるコツは「合唱で声を合わせるコツ」にまとめています。
よくある質問
Q. 楽譜が読めなくても第九の合唱に参加できますか?
A. 参加の条件は演奏会によって違うので、主催者の案内を確かめるのがおすすめです。歌うこと自体は、音源と読み方(カタカナ)で覚える方も多く、楽譜が読めなくても練習できます。
Q. ドイツ語の読み方は、カタカナで覚えてもいいですか?
A. 最初はカタカナで構いません。ü・ö の口の形と、語尾の子音に母音をつけないことだけ気をつけると、ぐっとドイツ語らしくなります。
Q. 高い音が出ません。パートを変えたほうがいいですか?
A. 高い音が出ないのは、音域より「出し方」が原因のことがよくあります。息を強くしすぎていないか、口を横に開いていないかを先に確かめるのがおすすめです。それでも苦しいときは、合唱団の指導者に相談してパートを決めるのが安心です。
Q. 1日どのくらい練習すればいいですか?
A. 家では1日15分を目安にしてください。長い時間より、毎日続けるほうが声は安定します。全曲を通すのは、本番の2週間前から1日1回までにしましょう。
Q. 本番の前にボイストレーニングを受ける意味はありますか?
A. あります。第九で苦労する高い音・長い音は、声の出し方の癖で決まることが多いからです。ATOの無料体験(オンライン25分)では、あなたの声を聞いて、どこを直せば楽に歌えるかをお伝えします。
本番の前に、自分の声の癖を25分で知る
ATOボーカルスクールのレッスンはオンラインのみです。声の特徴を100の項目から分析し、1万通りの組み合わせから合うトレーニングを選ぶ、たーなーメソッド「100×100」で、高い音や長い音が楽に出る練習をあなたの声に合わせてお伝えします。月4回16,500円(税込)、入会金5,500円は無料体験の当日にご入会なら0円です。
