結論:バンドで歌うと声が埋もれる原因は、多くの場合「声が小さいから」ではありません。よくある原因は次の5つです。
- 音量で勝とうとして喉を締め、かえって声がこもる
- ギターやキーボードと、声の「聞こえる帯」が重なっている
- 返し(モニター)で自分の声が聞こえず、押して歌っている
- マイクが口から離れている・向きがずれている
- キーが合っておらず、一番聞かせたい所が低すぎる/高すぎる
まず下の「見分け図」でどれに当たるかを確かめ、スタジオに入る前の15分の練習から始めてください。どの原因に当たるか自信がない方は、無料体験(オンライン25分)で一緒に確かめます。
こんにちは、たーなー先生(田中直人)です。ボイストレーナー歴30年、延べ5万人以上を指導し、テレビ東京『THEカラオケ★バトル』の優勝者・新人王・U18四天王の指導もしてきました。劇団四季・宝塚に進んだ方や現役の方の指導経験もあります。
1. まず見分ける:あなたの「埋もれ方」はどれ?
次の質問に、はい・いいえで答えてください。
- スタジオの後、喉がヒリヒリする → 原因1(喉で押している)か原因3(返しが聞こえない)
- 録音を聞くと、声は出ているのに言葉が聞き取れない → 原因2(帯の重なり)
- ステージで動くと急に声が小さくなる → 原因4(マイクの距離と向き)
- サビだけ埋もれる、またはAメロだけ埋もれる → 原因5(キー)
2. 原因と直し方
原因1:音量で勝とうとして、喉を締めている
ドラムとアンプの音に負けまいとして、喉に力を入れて大きな声を出すと、声はかえって細く、こもって聞こえます。しかも数曲で声がかれます。
バンドの中で通る声は「大きい声」より「前に当たっている声」です。声量で勝とうとせず、練習1の「前に当てる」を先に覚えてください。わざと声をひずませる「がなり」は、喉で押すのとは別の技です(がなり声の出し方)。声量の土台は声量を上げる記事へ。
原因2:楽器と声の「聞こえる帯」が重なっている
人の声で言葉が聞き取れるかどうかは、子音や声の響きの高い成分に大きく左右されます。歪ませたギターやキーボードは、その帯にも音がたくさんあるため、重なると声が埋もれます。
歌う側でできることは、言葉の子音(特に「か・さ・た」行)をはっきり立てることと、母音を口の奥にこもらせないこと。バンド側でできることは、歌の大事な所でギターの音域や音の厚みを少し引いてもらうことです(下の「バンドで話し合うこと」)。
原因3:返し(モニター)で自分の声が聞こえていない
自分の声が聞こえないと、人は無意識に大きな声で押して歌います。ライブハウスやスタジオでは、自分に向いているスピーカー(返し・モニター)の音を、担当の方(PA)に調整してもらえることが多いです。
頼むときは「ボーカルを、返しで今より少し上げてください」と具体的に言うのがコツです。「聞こえません」だけだと、何を上げればよいか伝わりません。リハーサルの最初の1曲目で頼み、2曲目で確かめましょう。
原因4:マイクが口から離れている・向きがずれている
マイクは口から離れるほど、拾う声が急に小さくなります。動きながら歌う方は、マイクと口の距離がこぶし1つ分より離れないようにし、マイクの先を口に向けたまま動きます。高い音で叫ぶ所だけ、少しだけ離します。持ち方の基本はマイクの持ち方へ。
原因5:キーが合っていない
一番聞かせたいサビが自分の声の低い所に来ていると、どれだけ頑張っても楽器に埋もれます。逆に高すぎると喉で押すことになります。原曲のキーにこだわらず、サビで一番声が前に出るキーをバンドで決めましょう。キーの決め方はキーの決め方の記事に詳しく書いています。
3. スタジオに入る前の15分の練習
練習1:前に当てる(5分)
口を閉じて「んー」とハミングし、鼻の付け根とくちびるがビリビリする所を探します。そのビリビリを保ったまま「んー→まー」と口を開けて、5つの音を上り下り。これが、楽器の中でも前に出る声の土台です(共鳴の仕組みは共鳴の記事)。
練習2:子音を立てる(5分)
その日に歌う曲のサビの歌詞を、ささやき声で、子音だけ強く読みます。次に、普通の声で同じように。言葉が聞き取れる声になります。
練習3:一番高い所の確かめ(5分)
サビの一番高い音を、小さめの声で3回。苦しければ、その日はキーを1つ下げる提案をバンドにしてもよい、と自分に許可を出しておきます。
ウォーミングアップ全体の流れはウォーミングアップの記事へ。スタジオの後は、大きな声で話すのを控え、のどを冷やさないように(喉のケア)。
4. バンドで話し合うこと(3つだけ)
- サビの頭の1小節だけ、ギターかキーボードの音を少し引いてもらう
- 歌の入る所で、楽器のソロや大きなフレーズを重ねない
- スタジオ練習を毎回1曲だけ録音し、「歌が聞こえるか」をみんなで聞く
録音は、上達がいちばん早くなる道具です。メンバー全員で同じ録音を聞くと、だれか1人のせいにせず話し合えます。
5. 【たーなー先生のレッスンから】録音を聞くと、原因はすぐ分かる
ATOのレッスンでは、バンドで歌う方には、まずスタジオ練習やライブの録音を一緒に聞くことをおすすめしています。たーなーメソッド「100×100」で声の特徴を100の項目で分析すると、「声量」ではなく「当て方」や「キー」が原因だった、と分かることがよくあります。
原因が分かれば、練習は短くて済みます。喉を痛めてからではなく、痛める前にご相談ください。
※この記事は歌の練習の方法を紹介するもので、医療の診断や治療に代わるものではありません。喉の痛みが続く場合は、耳鼻咽喉科で診てもらってください。
よくある質問
- Q. 声量が小さいのが原因だと思っていました。違うのですか?
-
A. 声量も関係しますが、多くの場合は前に当たっていない声、返しが聞こえず押している、キーが合っていない、の方が先です。声量を上げる練習はその後で十分です。
- Q. スタジオ練習の後、いつも喉が痛くなります。
-
A. 喉で押して歌っているサインです。返しの音を上げてもらう、キーを1つ下げる、スタジオ前に前に当てる練習をする、の3つを試してください。痛みが続く場合は耳鼻咽喉科で診てもらってください。
- Q. ライブハウスで返しを頼むのが気まずいです。
-
A. 頼んで大丈夫です。「ボーカルを、返しで今より少し上げてください」と具体的に伝えると、担当の方も調整しやすくなります。
- Q. 原曲のキーのままで歌わないと、かっこ悪くないですか?
-
A. お客さんに届くのはキーより聞こえる歌です。サビで声が一番前に出るキーをバンドで決めてください。
- Q. オンラインのレッスンで、バンドの悩みも相談できますか?
-
A. できます。ATOボーカルスクールのレッスンはすべてオンラインです。スタジオ練習の録音があると悩みを伝えやすくなります。まずは25分の無料体験で声の特徴を確かめられます。
- Q. 料金はいくらですか?
-
A. 月2回11,000円、月4回16,500円、入会金5,500円です。無料体験の当日に入会される場合、入会金は0円です。
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