【鼻腔共鳴とは】仕組みとやり方・ハミング練習3ステップ

ボイストレーニング

こんにちは、たーなー先生こと田中直人です。テレビ東京『THEカラオケ★バトル』の優勝者・新人王・U18四天王をはじめ、30年間で5万人以上のボイストレーニング(ボイトレ)をしてきました。

鼻腔共鳴とは、声を鼻の奥の空間(鼻腔)にも響かせて、明るく遠くまで通る声にする発声のことです。鼻をつまんだような「鼻声」とは別のもので、口を開けて歌いながら、響きの一部を鼻の付け根あたりに集めます。練習はハミングから始めるのがいちばん簡単です。

鼻腔共鳴(びくうきょうめい)とは
声帯で生まれた音を、のど(咽頭)・口(口腔)に加えて、鼻の奥の空間(鼻腔)にも響かせること。声に明るさと輪郭が出て、マイクに乗りやすくなります。「鼻にかける」のではなく「鼻の奥にも響きを足す」と考えます。

鼻腔共鳴の仕組み

声は「のど・口・鼻」で響く

声の響きを料理にたとえると、のどの空間(咽頭腔)が素材、口の空間(口腔)が調理法、そして鼻腔共鳴が最後の味付けです。素材と調理が整ったうえで味付けが加わると、その人らしい個性と表現力が出てきます。

鼻腔共鳴は、どんな歌でも必ず使うものではありません。曲の雰囲気や歌い手のスタイルによって、多めにも少なめにもします。ただ、使える状態にしておくと、声の選択肢が一つ増えます。

響きを置く目標「アンザッツ3a」

声楽の発声法では、声を「どこに当てるか(置くか)」を示す考え方があります。ATOのレッスンで目標にしているのが、フレデリック・フースラーらの著書『Singing: The Physical Nature of the Vocal Organ』で知られるアンザッツの図のうち「3a」の位置です。鼻の付け根、目と目のあいだの奥あたりに、音を置くイメージで発声します。

動画のテノール歌手は、声が客席の奥まで届いています。鼻腔共鳴がある声は、大きな声を出さなくても前に飛ぶ感覚があります。

鼻声との違い

鼻腔共鳴と鼻声は、言葉は似ていますが中身は反対です。

  • 鼻腔共鳴:口から声がしっかり出ていて、そこに鼻の奥の響きが足されている状態。明るく、輪郭のある声。
  • 鼻声:口から出るはずの息と声が鼻へ逃げ、こもって聞こえる状態。言葉が聞き取りにくくなりやすい。

自分でできる確かめ方

  1. 「あー」と伸ばしながら、指で軽く鼻をつまみます。
  2. 音がほとんど変わらなければ、口からしっかり声が出ています。
  3. 音が大きくこもる・止まる場合は、鼻へ息が逃げすぎているかもしれません。

もう一つは録音です。自分の歌を録音し、好きなプロの歌と聴き比べてください。響きの明るさや、言葉の通り方の違いが分かりやすくなります。

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鼻腔共鳴の練習3ステップ

どの練習も、終わったら録音して聴き返します。1日数分でも、毎日続ける方が身につきます。

ステップ1:ハミング

  1. 口を閉じ、「んー」とハミングします。
  2. 鼻の付け根(アンザッツ3a)が、かすかに震える感覚を探します。
  3. 楽に出せる高さから始め、低い音・高い音へとゆっくり動かします。どの高さでも、響きの場所が変わらないことを目指します。

ステップ2:ハミング&発声

  1. 「んー」とハミングしたまま、口をそっと開けて「まー」につなげます。
  2. 口を開けたあとも、ハミングで感じた響きを3aに残します。
  3. 楽な音域から、上下に少しずつ広げます。

口を開けた瞬間に響きが消えるなら、ステップ1に戻って、ハミングの響きをもう一度はっきりさせてから進みます。

ステップ3:鼻濁音

鼻濁音とは、ガ行の音を鼻に抜いてやわらかく発音するものです。鼻に抜ける「ンガ」のような音で、発音記号では[ŋ]と書きます。歌の言葉をきれいに聞かせるうえで大切な発音で、舌の使い方の練習にもなります。

  1. ハミングから少し口を開け、3aに響きを置いたまま「んがー」と出します。
  2. 高い音から低い音へ、ゆっくり下ろします。
  3. 同じように「んげー」「んぎー」「んごー」「んぐー」と、母音を変えて行います。

よくある失敗

  • 鼻にかけすぎる:響きを鼻だけに集めると、鼻声になります。口から出る声が主役で、鼻の響きは「足す」ものです。鼻をつまむチェックで確かめるのがおすすめです。
  • 顔やのどに力が入る:響きを探そうとして眉間やあごを固めると、かえって声がこもります。肩と首をゆるめてから始めます。
  • 大きな声でやる:鼻腔共鳴は、小さめの声の方が感じ取りやすいです。音量はあとから上げます。
  • 高い音で響きが抜ける:高い音では裏声の練習とつなげると安定しやすくなります。裏声とはや、ヘッドボイスの練習も合わせて読んでください。

鼻腔共鳴と「鼻声」は別のものです。鼻にかかって聞こえる方は「鼻声を直す方法」をご覧ください。

よくある質問

Q. 鼻腔共鳴ができると、何が変わりますか。 A. 声が明るく、前に飛ぶように聞こえやすくなります。大きな声を出さなくても、言葉が届きやすくなるのが特徴です。

Q. 鼻が詰まりやすいのですが、練習できますか。 A. 鼻が詰まっているときは響きを感じにくいので、無理をせず、体調のよい日に行ってください。のどや鼻の痛み、違和感が続く場合は、練習を止めて耳鼻咽喉科で相談してください。

Q. どのくらいで身につきますか。 A. 声の状態や練習の量によって、人それぞれです。毎日短い時間でも録音して聴き比べると、変化に気づきやすくなります。

Q. 一人で練習しても大丈夫ですか。 A. ハミングは一人でもできます。ただ、鼻声になっていないかは、自分では判断しにくいことがあります。ときどき先生に聴いてもらうと、遠回りが減ります。

まとめ

鼻腔共鳴とは、声を鼻の奥にも響かせて、明るく通る声にする発声のことです。鼻声とは別のもので、口から出る声を土台に、響きを鼻の付け根(アンザッツ3a)に足していきます。ハミング、ハミング&発声、鼻濁音の3ステップを、録音しながら続けてみてください。

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執筆:田中直人(たーなー先生)|ATOボーカルスクール代表 プロフィール

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