結論:声変わり中の歌は、次の5つを守りながら続けましょう。
- 前の高さに戻そうとしない。「今、楽に出る音」の中で歌う
- キーを下げる・パートを変えるのは、逃げではなく正しい選び方
- 裏返っても止めない。裏声と地声の切り替えの練習になる
- 大声・長時間はやめる。1回15分まで、喉が疲れたらその日は終わり
- かすれや痛みが2週間以上続くときは、練習より先に耳鼻咽喉科へ
変声期は、呼吸・リズム・言葉・表現のように「高さに頼らない力」を伸ばしやすい時期です。今の声で歌いやすいキーとパートは、無料体験(オンライン25分)で確かめられます。
声変わりが始まると、きのうまで出ていた高い音が出ない、歌うと声が裏返る、合唱コンクールでどのパートを歌えばいいか分からない――そんなことが急に起こります。変声期の相談でいちばん多いのは「このまま歌が下手になるんじゃないか」という不安です。
こんにちは、たーなー先生(田中直人)です。ボイストレーナー歴30年、延べ5万人以上を指導し、テレビ東京『THEカラオケ★バトル』の優勝者・新人王・U18四天王の指導もしてきました。結論から言うと、変声期は「歌を休む時期」ではなく、「声の高さに頼らない力を伸ばす時期」です。この記事では、今の声のまま無理なく歌う方法をまとめます。
1. 声変わり(変声期)で、声に何が起きているのか
声変わりは、体の成長にあわせて声帯が長く・厚くなり、喉の形も変わることで起こります。楽器にたとえると、ギターの弦が途中で太い弦に張り替えられているようなもの。弾き方(声の出し方)を新しい弦に合わせて覚え直している最中なので、音が裏返ったり、出しにくい高さが出たりします。
- 時期の目安:男子は小学校高学年〜中学生ごろに始まることが多いと言われますが、個人差がとても大きく、早い人・遅い人で数年違います。
- 下がり方の目安:男子は話し声が1オクターブ近く低くなると言われ、女子も数音ほど低くなったり、声がかすれやすい時期があったりします。女子にも変声期はあります。
- 期間:数か月で落ち着く人もいれば、1〜2年かけて少しずつ変わる人もいます。
大人の声の音域の目安は、男性は男性の音域の記事、女性は女性の音域の記事にまとめています。変声が落ち着いたあとに、自分の新しい音域を測ってみてください。
2. 「歌えない」と感じる3つの場面と、その理由
場面1:きのうまで出ていた高い音が、急に出ない
声帯が変わったのに、前と同じ感覚で高い音を出そうとすると、喉に力が入って声が詰まります。出ないのは下手になったのではなく、楽器が変わったからです。
場面2:歌っている途中で、声が裏返る(ひっくり返る)
地声と裏声の境目(切り替わる高さ)が、変声期には変わりやすくなります。境目の近くの音を歌うと、声が勝手に裏声に飛びます。
場面3:合唱で、どのパートを歌えばいいか分からない
ソプラノ・アルトでは高すぎ、テノール・バスではまだ低い音が出ない、という「間」の時期があります。無理に元のパートを歌い続けると、喉を痛める原因になります。4章で選び方を書きます。
【たーなー先生の現場から】変声期の生徒さんには、最初に「今日いちばん楽に出る音はどこ?」と聞きます。そこを真ん中にして歌う曲とキーを決める。前の高い声を取り戻そうとする練習は、この時期はしません。そのかわり、息の流れ、リズム、言葉のはっきりさを練習しておくと、声が落ち着いたときの歌の土台になります。
3. 声変わり中に歌うときの5つのコツ
コツ1:毎回「今日の楽な音域」を確かめてから歌う
歌う前に、話し声の高さで「あー」と言い、そこから上下に少しずつ伸ばします。喉が詰まる手前までが今日の音域。日によって変わるので、毎回確かめます。
コツ2:キーを下げる。合わなければ1オクターブ下で歌う
カラオケなら原曲から2〜5つ下げるのは普通のことです。男子は女性の曲や高い男性の曲を、1オクターブ下で歌っても構いません。キーの合わせ方はキーの決め方の記事を見てください。
コツ3:裏返っても止めず、裏声はやさしく使う
裏返ったら、そのまま裏声で歌い切って大丈夫です。止めて何度もやり直すほうが喉に力が入ります。高い音は無理に地声で出さず、軽い裏声で出す練習をしておくと、変声後に役立ちます(裏声の出し方)。
コツ4:高さに頼らない力を伸ばす(呼吸・リズム・言葉)
- 呼吸:鼻から吸って「スー」と10秒、一定に吐く。3回
- リズム:好きな曲に合わせて手拍子し、歌詞を「話す」ように読む
- 言葉:母音をはっきり。語尾まで届ける
この3つは声の高さと関係なく伸ばせて、変声が終わったあとの歌の土台になります。
コツ5:量を決める。1回15分、大声と長時間はしない
変声期の喉は疲れやすい状態です。叫ぶように歌う、何時間もカラオケで歌い続ける、は避けます。喉が痛い・かすれる日は、歌わずに曲を聴いて歌詞を覚える日にします。
4. 合唱コンクールのパートと、カラオケのキーの決め方
合唱のパート:迷ったら先生に「今の音域」を伝えて相談する
- 男子で高い音が出なくなってきたら、無理にソプラノ・アルトに残らず、低いパートへの移動や、出ない音だけオクターブ下で歌うことを音楽の先生に相談してください。
- 低いパートの一番下の音がまだ出ないときは、その音だけ口の形で歌う(声を出さない)のも一つの方法です。
- 合唱で声を周りに合わせるコツは合唱で声を合わせる記事にまとめています。
カラオケのキー:「サビの一番高い音が、話し声に近い太さで出る」所
- 原曲キーでサビだけ歌う。喉が詰まるなら1つずつ下げる
- 高い音が「叫び」でなく「話し声の延長」で出る所で止める
- 下げすぎて低い所が出ないときは、1オクターブ下+キーを少し上げる、を試す
5. やってはいけない練習と、病院に行く目安
- 前の高い声を取り戻すために、毎日高い音を力いっぱい出す
- のどがかすれているのに、部活や合唱の練習で大声を出し続ける
- ささやき声で長く話す(喉が休まらないことがあります)
- のど飴でごまかして、痛いまま歌い続ける
次のようなときは、練習より先に耳鼻咽喉科で診てもらってください。
- 声のかすれや痛みが2週間以上続く
- 話すだけでも喉が痛い、声がほとんど出ない日がある
喉を痛めない歌い方の基本は喉のケアの記事へ。
※この記事は歌の練習の方法を紹介するもので、医療の診断や治療に代わるものではありません。
6. 保護者の方へ:変声期の子どもの歌との付き合い方
- 「前は高い声が出たのに」と言わない。本人がいちばん気にしています
- 歌うのをやめさせる必要はありません。量(時間と大声)だけ気をつけてください
- 合唱コンクールの前は、パートの相談を音楽の先生にするよう声をかけてあげてください
- 何歳から習わせるかを迷っている方は、子どものボイトレの記事も参考に
よくある質問
- Q. 変声期に歌っても大丈夫ですか?
-
A. 楽に出る音域の中で、大声や長時間を避けて歌いましょう。前の高さに戻そうとして喉に力を入れることだけは避けてください。かすれや痛みが続くときは、先に耳鼻咽喉科で診てもらってください。
- Q. 声変わりで高音が出なくなったら、もう戻りませんか?
-
A. 変声前と同じ高さの地声に戻るとは限りませんが、変声が落ち着いたあと、新しい声で音域を広げていくことはできます。高い音は裏声や、地声と裏声をつなぐ練習で出せるようになる方も多くいます。
- Q. 声変わりはいつ終わりますか?
-
A. 個人差が大きく、数か月で落ち着く人もいれば、1〜2年かけて変わる人もいます。話し声が毎日同じ高さで安定し、裏返りが少なくなってきたら、落ち着いてきたサインです。
- Q. 女子にも変声期はありますか?
-
A. あります。男子ほど大きくは下がらないことが多いですが、声がかすれやすい、高い声が出しにくい時期があります。歌い方の注意は男子と同じです。
- Q. 合唱コンクールで歌えない時はどうすればいいですか?
-
A. 音楽の先生に今出る音の範囲を伝え、パートの変更や、出ない音だけオクターブ下で歌うことを相談してください。無理に元のパートの高い音を出し続けるのは避けましょう。
- Q. 変声期でもボイトレを受けられますか?
-
A. 受けられます。ATOのオンラインレッスンでは、その日に楽に出る音域を確かめ、呼吸・リズム・言葉など高さに頼らない練習を中心にします。本人だけでも、保護者の方とご一緒でも受けられます。
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体験レッスンのご案内
今の声で歌いやすいキーとパート、25分で一緒に見つけませんか。ATOボーカルスクールの無料体験(オンライン25分)では、好きな曲や合唱の曲を少し歌っていただき、今日いちばん楽に出る音域、その音域に合うキーやパートの考え方、変声期のあいだに伸ばしておきたい練習をその場でお伝えします。体験の流れは無料体験の記事に書いています。保護者の方がご一緒でも、本人だけでも受けられます。
レッスンはオンラインで受けられます。料金:月2回11,000円・月4回16,500円(入会金5,500円は、無料体験の当日のご入会で0円)。
※ATOのレッスンは医療行為ではありません。喉の痛みやかすれが続く場合は、医療機関にご相談ください。
