この記事の答え(30秒で読めます)
- 冬に歌うと喉が痛くなりやすいのは、空気が乾いて喉の負担が増えているのに、夏と同じ歌い方・同じ練習量を続けてしまうからです。
- 対策は、練習を「潤す → 温める → 短く区切って歌う → 歌ったあとも休める」の4ステップで組み立てること。
- 痛みやかすれが続く・繰り返す・急に声が出なくなったときは、歌わずに休み、耳鼻咽喉科に相談してください。
- 痛みの原因が「喉で押す」「息の量が合っていない」などの歌い方のクセにあるときは、自分の耳では気づきにくいので、一度プロに聞いてもらうのが近道です。
書いた人:たーなー先生(田中直人)。ボイストレーナー歴30年・延べ5万人以上を指導。テレビ東京『THEカラオケ★バトル』の優勝者・新人王・U18四天王を指導。劇団四季・宝塚に進んだ方や現役の方の指導経験もあります。ATOボーカルスクール代表講師。
冬に歌うと喉が痛くなりやすい3つの理由
① 空気が乾いている
冬は外の空気も、暖房の効いた部屋の空気も乾きます。乾いた空気の中で長く歌うと、喉がイガイガしたり、声がかすれたりしやすくなります。暖房の効いた狭いカラオケボックスで、何時間も続けて歌うときは特に注意が必要です。
② 体が冷えて、力が入りやすい
寒いと肩や首がすくみ、体がこわばります。その状態でいきなり高い声や大きな声を出すと、喉のまわりに余計な力が入りやすくなります。
③ 忘年会・新年会など、歌う機会が急に増える
11月〜1月は、カラオケや年末の集まりが続く季節です。ふだんはあまり歌わない人が、短い期間に何度も、しかも長い時間歌うことになります。
つまり冬は「喉にとって条件が悪いのに、歌う量が増える」季節です。だからこそ、練習の中身と順番を冬向けに切りかえます。
※カラオケで喉が枯れる原因(音域・声量・テンポ)そのものは、季節に関係なく起こります。原因の見分け方は「カラオケで喉が枯れる・痛い原因と歌い方」にまとめています。この記事は「冬の乾燥」と「練習の組み立て」に絞ってお伝えします。
まず確認:こんなときは歌わずに休み、医師に相談を
ボイストレーニングは「健康な喉を、上手に使えるようにする」ためのものです。次のようなときは、練習を続けるより、まず休むことと医師への相談を優先してください。
- 声がかすれた状態が、なかなか良くならない
- 飲み込むときにも痛む、熱がある、など喉以外にも不調がある
- 急に声が出なくなった
- 痛みやかすれを何度も繰り返している
参考までに、米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会の診療ガイドライン(声がれ〔嗄声〕、2018年改訂)では、声がれが4週間たっても良くならない場合や、重い原因が疑われる場合には、喉頭(声帯のあたり)を医師が観察することを勧めています。ただし、これは「4週間は様子を見てよい」という意味ではありません。気になる症状があれば、期間にかかわらず早めに耳鼻咽喉科に相談してください。
この記事でお伝えする練習法は、病気を治すためのものではありません。「痛いけれど歌えば慣れる」と無理を続けるのが、いちばん遠回りです。
乾燥の季節に喉を守る練習の4ステップ
冬の練習は、いきなり曲を歌わずに、次の4ステップで組み立てます。
ステップ1 潤す(練習の前と途中)
- 練習の前に、常温の水や白湯を少しずつ飲む
- 練習中もこまめに口を潤す(一度にたくさんより、少しずつ回数多く)
- 部屋が乾いているときは、加湿器や濡れタオルで乾燥を和らげる
- カラオケボックスでは飲み物を手元に置き、1曲ごとに一口飲むくらいのつもりで
※何を飲むとよいかは「カラオケで喉にいい飲み物」で詳しく比べています。
ステップ2 体を温めてから、小さな声で始める(5分)
- 肩を回す、首をゆっくり左右に倒すなどで、首と肩のこわばりをほどく
- 鼻歌(ハミング)、唇をぷるぷる震わせるリップロール、舌を震わせるタングトリルを、小さな声・楽な高さで
- 最初から高い声や大きな声は出さない
ステップ3 曲は「短く区切って」歌う
- 1曲を通して何度も歌うより、苦しくなるところだけを取り出し、楽に出せる高さ・音量で繰り返す
- 長い時間続けて歌わず、短い練習を区切って行い、間に喉を休める時間をつくる
- 「少し疲れたかな」と感じたら、その日はそこで終わりにする。冬は「物足りないくらい」で止めるのがちょうどいい
ステップ4 歌ったあとは、話し声も休める
- 練習やカラオケのあとに大声でおしゃべりを続けると、喉はさらに疲れます
- 帰り道や寝る前は、喉を潤して静かに過ごす
ポイントは、ステップ1と2を「飛ばさない」ことです。忘年会の当日も、会場に向かう前にステップ2の5分だけはやっておくと、1曲目から無理をしにくくなります。
喉を痛めやすい歌い方の3つのクセ
レッスンで「歌うと喉が痛い」と相談に来られる方には、共通するクセがよく見られます。冬は乾燥でこのクセの影響が出やすくなるため、季節の変わり目に一度見直してみてください。
クセ1 喉や首に力を入れて、声を押し出している
高い声や大きな声を出そうとするとき、首の筋が浮き出たり、あごが前に出たりしていませんか。声を「喉で押す」出し方は、喉のまわりに力が集まり、疲れや痛みにつながりやすくなります。喉が締まる感覚がある方は「喉が締まる原因と直し方」も参考にしてください。
クセ2 息の量が合っていない
息が足りないまま声を出すと、喉でがんばって補おうとします。逆に、息を一気に吐きすぎても、声がかすれやすくなります。大切なのは「強い息」ではなく「声に合った量の息を、安定して流すこと」です。息継ぎの練習は「カラオケの息継ぎのコツ」で紹介しています。高い声でかすれる方は「高音がかすれる原因」へ。
クセ3 練習が長すぎる・休みがない
上達したい気持ちが強い方ほど、1回の練習を長くしがちです。でも、疲れた喉で練習を続けると、喉に力を入れて歌うクセがかえって身につくことがあります。「長く1回」より「短く何回か」のほうが、喉にも上達にも向いています。
たーなーメソッドでは、声の特徴を100の項目で見て、掛け合わせた1万通りの中から、その人に合うトレーニングを選びます。喉で押しているのか、息の量なのか、高さの選び方なのか。原因が分かれば、直す練習は短くて済みます。
ただ、この3つのクセは自分の耳だけではなかなか気づけません。歌っている最中は、自分の声を外から聞くことができないからです。
冬に喉が痛くなる歌い方のクセ、25分で一緒に見つけませんか
ATOボーカルスクールの無料体験(オンライン・25分・0円)では、話し声と歌声を聞いて、どこに力が入っているか・息の量が合っているかをその場でお伝えします。
カラオケで喉が痛くなりにくくするコツ(冬の版)
- 1曲目は、自分にとって楽な高さの曲にする(いきなり一番高い曲を歌わない)
- キーは無理に原曲に合わせず、楽に歌える高さに下げてよい
- マイクを使い、声量はマイクに任せる。張り上げる必要はありません
- 連続で何曲も歌わず、ほかの人が歌っている間に喉を休め、水分をとる
- 盛り上がって大声で話し続けるのも、喉の負担になります
- 帰ったら喉を潤して、早めに休む
よくある質問
Q1. 冬になると、歌い始めてすぐに喉がイガイガします。どうすればいいですか?
練習の前に喉を潤し、鼻歌やリップロールなど小さな声のウォームアップから始めてください。それでもすぐにイガイガする、痛みが続く場合は、練習を休んで耳鼻咽喉科に相談してください。
Q2. 喉が痛いときでも、練習したほうが上達しますか?
痛いときは休むのが先です。痛いまま練習を続けると、喉に力を入れる歌い方が身につきやすく、かえって遠回りになることがあります。
Q3. のど飴やマスクは効果がありますか?
喉の乾燥を和らげる工夫として取り入れる方は多いですが、この記事では特定の商品や効果はおすすめしていません。症状があるときの対処は、医師や薬剤師に相談してください。
Q4. 忘年会まで時間がありません。何から始めればいいですか?
当日までは「歌う前の5分のウォームアップ」と「楽な高さの曲を選ぶこと」から始めてください。
Q5. 歌うたびに喉が痛くなるのは、歌い方のせいですか?
歌い方のクセが関係していることはよくありますが、それ以外の原因もあり得ます。痛みが続く・繰り返す場合はまず耳鼻咽喉科で相談し、喉に問題がないと分かったうえで、歌い方を見直すのがおすすめです。
Q6. オンラインのボイトレでも、喉の負担が分かりますか?
ATOのレッスンはすべてオンラインです。画面越しに話し声と歌声を聞き、どこに力が入っているか、息の量が合っているかをお伝えしています。無料体験は25分・0円です。
まとめ
- 冬は乾燥・冷え・歌う機会の増加で、喉に負担がかかりやすい季節
- 練習は「潤す → 温める → 短く区切って歌う → 歌ったあとも休める」の順番で
- 喉を痛めやすいクセは「喉で押す」「息の量が合っていない」「練習が長すぎる」の3つ
- 痛みやかすれが続く・繰り返すときは、歌わずに休んで耳鼻咽喉科に相談
冬に喉が痛くなるのは、あなたの喉が弱いからではありません。季節に合わせて練習の仕方を変えれば、乾燥の季節でも、もっと楽に歌えるようになります。
ATOボーカルスクールの無料体験(オンライン・25分・0円)
- 講師:たーなー先生(ボイストレーナー歴30年・延べ5万人以上を指導)、OLIVE先生、大場康司先生
- レッスン:すべてオンライン。月2回11,000円/月4回16,500円(税込)
- 入会金5,500円は、無料体験の当日にご入会の場合0円
料金のくわしい説明 → 料金のページ
参考(受診の目安の出典)
・Stachler RJ ほか「Clinical Practice Guideline: Hoarseness (Dysphonia) (Update)」Otolaryngology–Head and Neck Surgery, 2018(米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会財団)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29494321/
・同ガイドラインの解説(American Family Physician 2018年11月15日号)https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2018/1115/p606.html
